都心部の夜景が一望できるF.S.I本社の一室で、羽村は煙草に火を点けながらテラスに立っていた。

 十二月の夜風は凍てつくように冷たい。


 闇夜を見上げれば、所々で不夜城のネオンに対抗するように星が瞬いていた。


 こんな都心でもまだ星がみられるのかと思っていると、背後に気配を感じ横目で見やった。


「雪でも降りそうですね……」



「ああ……今夜は冷え込む」
 聞きなれた声に羽村は向き直ることなく、紫煙を燻らせていた。