「いいの、あなたも忙しいでしょうから……無理言ってごめんね」 物腰柔らかな口調とは裏腹に、表情はこの上なく冷淡だった。 「そういえばアルページュのコンテスト用レシピは春日さんが考えてるって―――」 「知ってる、そんな情報古すぎてお金にもならないわよ?」 「……」 「コンテスト前にちょっと悪戯してみたんだけど、ふふ……効果あったみたい」 紗矢子は電話口で、堪えられない笑みを零した。