「はい、オーナーは今夜出かけてるんで、多分しばらくしたら……戻ってくると思います」


「……そう」



 まだあどけなさが残る若い店員を横目で見やると、クスリと笑って濡れた指先を舌で舐めとった。



「……じゃあ、待たせてもらってもいい? 別にたいした用事はないんだけど、ひとりで飲むお酒はまずいから」



「……はい」



 その妖艶な光景に、若い店員がゴクリと息を飲んだのを確認すると、紗矢子は満足げにマティーニの入ったグラスに口をつけた。