胸を突き刺すような言葉だった。


 そこに悪意はないものの、痛いところを突かれてしまった気がした。



「あなたは例え司がいなくても、毅然と振舞っていませんでしたか? キッチンでの春日さんは司ごときに振り回されるような人ではなかったように記憶していますが……お互い協力し合っていいものを作り出す関係ならまだしも、惑わされてしまっては本末転倒……」



 羽村はそう言うと、奈央の様子を伺う事なく二杯目のウィスキーにグラスを傾けた。




『愛だの、恋だの言ってると……結局面倒なことになるんですよ……』