斎賀と出会ったのはいつだったか、紗矢子が転勤になる前に一度出張で都心に出てきた時に偶然入った店がここだった。



会員制だったために入店を断られた紗矢子が逆上し、『ここのオーナーはそんなにケチな男なのか? そんなに信用できないならここで裸になってくまなく全部調べればいい』と啖呵を切り、その時居合わせた斎賀に気に入られ、紗矢子は店に通された。



 斎賀は気の強い女が好きだった。



周りからは物好きと評されていたが、紗矢子は斎賀のとって、見た目も好みのタイプの美人だった。

 そして、その時必然的に沸き起こった斎賀の下心が疼いた。


 紗矢子は当時恋人がいたが、すっかり斎賀の虜になってしまい、出張と偽っては斎賀と会っていた。


 建前上では紗矢子の転勤を機に別れた恋人だが、今考えるともしかしたら紗矢子の行動を全部知っていたのかもしれない。


 数年連れ添った恋人だったし、最初の方は尾を引いていたが、斎賀と連絡を取るようになってからどうでも良くなってしまった。