「あれ? もしかして、春日さんですか?」


「っ!?」



 思わず妄想に耽ってしまっていたところへ背後から声をかけられ、奈央は肩を跳ねさせた。


「あ、井上さん?」



 振り向くと、数ヶ月前に紗矢子のホームパーティで出会った紗矢子の友人、井上奈津美が軽く会釈をして立っていた。



「仕事帰りですか? 私もなんです。あ、それ……」



 奈央が適当に手にとったクリスマスのレシピ本に、奈津美が視線を落とした。