「教えてください! 紗矢子が、何か―――」



「今後一切会わないで欲しい……あの女は……」



 奥歯に衣着せた一条の言葉に、奈央の焦燥感が一層高まる。



「一条さん、紗矢子のこと……」



「は? おい、馬鹿な発想はやめろ」



「だったら、どうして近づくななんて言うんですか? 私は近づいちゃダメで、一条さんは紗矢子の傍にいてもいいって……」



 あからさまに隠し事をされているのが無性に悲しかった。


 たった三ヶ月の付き合いで何もかもわかったつもりでいた自分が浅はかだった。


 奈央はそう思うと次第に視界が霞んできた。