男!!!
なんで!?…坂下春奈じゃないってこと?
いや…そんなはずない…ちゃんと確認したもの。

それに、よく見ると、顔も…
メイクが落ちて少し違うようにも見えるけど…

彼女の顔だ。

かっこいい。という印象を持った。
整った顔立ちに適度に着崩した服、すらりとした長い手足、華奢な体つき。
完璧な美少年。

そして彼は、その姿のまま公園をでて、歩き出した。
プチパニックに至っていた私は急いで『彼』を追った。

追っている間に考えていた。
彼…なのか、彼女…なのか
私が考えている可能性は2つ

1、普段の学校での姿が本当で、帰ると男装している。
2、今が本当の姿で、学校で女装してる。

1が有効かしら、学校の入学手続きがあるし。

と思っていたら、
彼がどこかの建物に入っていった。

この建物何かしら…?
そっと覗きこむ、

え!!!!
危うく声に出しそうになった言葉をのみこみもう一度みた。

そこは…
男子寮だった。

見れば見るほどパニックになっていく…
こんなの初めてだもの、
今までは、人間の本性を暴いてきた。
でも、今回は…何?

もう、わからない…

でも、ここまで来たら調べなくちゃ!
そこで私は勇気を振り絞って、男子寮へ足を踏み入れた。

そこには、20代後半くらいの若い男の警備員さんが受付をやっていた。
そこで笑顔を作って、
『すいませ~ん』

と今にも寝そうな警備員さんに声をかけた。
その人の胸元には{ハラダ}と書かれたネームプレートが付けられていた。

頭の片隅でハラダさんか…と思っていると。
ハラダさんがびっくりした様子で
「え!あの…ここは男子寮なんですがね~」

と少しデレッとしながらいった。
きもっと思ったけど、
まあ、こんなところで働いてたら、女子高生と話すきかいなんてほとんどないだろうし、しかたないかと思い直して、話しかけた。

『はい、わかってます!ここに兄が入りたいんですが、入り方がわからないんです。今日のお兄ちゃん熱出してこれなくなっちゃって、代わりに私が』

といった。

まあ、本当はお兄ちゃんなんかいないけどね…

それを聞いて納得した様子で
「へー。それで?何が聞きたいの?」

と、聞いてきてくれた。
『あ、はい!じゃあ』
私はメモを取り出して聞いた

『ここに入るには何か書類が必要ですか?』

と聞くと。ハラダさんは首を振って
「書類はいらないよ。ただ、身体検査だけあとは名前…

その他に何か言っていたけれど、私の耳には入らなかった。

―…身体検査
その言葉で十分だった。
でも念のため…
『あの…身体検査って…?』

と聞いてみた。
すると帰ってきたのは
「まあ、念のためみたいだけど、性別判断するためのみたいだよ。」

と笑いながら答えた。

私は、ありがとうございました。と軽く会釈してその場を去った。

…性別判断か
ってことは男…

じゃあ、なんで女装して学校来てるの…?
趣味…なわけないし、

本当に、なぜ?

わからない…
私は帰ってからも徹夜で考えていた。