本当のキミ

その言葉に少し表情が変わったけど
その表情を読み取る前に

夏向が横を向いた。

そしてキョロキョロとしていた。

何探してるんだろ…

そういえば、最初に見つけた時も
そんなことしてた気がする。

不思議に思って

『どうしたの?なんかいた?』

と思いのままに言った。

するとはっとしてこちらを向き

「いや、なんでもないよ。気のせいだった。」

と小さく笑って見せた。


…?
少し気になるけど

校舎の時間が見えた。
ぎりぎりだ。

まあ、いいや。嘘ついてるようにも見えないし。

『そう?じゃあ、いきましょ、遅れる。』

と時計を指さし夏向をうながした。