あ、そういえば…

さっきの声を思い出して
菫から視線を外し声のした方を見てみる。


誰もいない。

…気のせい…か?

俺がキョロキョロとしていると

「どうしたの?なんかいた?」

菫の声で我に返って

『いや、なんでもないよ。気のせいだった。』



…この時に気が付いていれば
まさかこの後あんなことが起きるなんて。


菫は俺の顔を不思議そうにのぞきながら

「そう?じゃあ、いきましょ、遅れる。」

時計を指さしながら俺をうながした。