本当のキミ

【夏向side】

「兄弟とかっているの?」

そんな何でもない彼女の質問に
俺は、自分でも驚くほど

ビクついた。

そんな質問されるなんて思っていなかった。

この質問も彼女にとっては
何でもない質問なんだろう。



でも…俺には……
一番つらい質問かもしれない。


彼女の目に映った俺の顔が
あまりにもつらそうな顔で

彼女から顔をそらした。

俺はもう、何も見えていない。
少し、記憶がよみがえる。

そしてぼそっと言った。

『…あぁ……姉が、いた…よ。』

いた…

そう、いたんだ…


“春奈”


そんな名前の俺の大好きだった姉ちゃんが…