水姫と出会ったのはその後だった。
水姫は私がいた施設の経営者の娘だった。
たまに施設に遊びに来ていたから、顔だけは知っていた。
その日も施設に遊びに来ていた、優しそうなお母さんと一緒に。
「水姫ちゃん!」
「ホントだ!水姫ちゃん!」
水姫は来るたびにみんなに囲まれていた。
私は特に興味もなく、多目的ルームに置かれたテレビを見ていた。
ポンッ
突然、肩をたたかれた。
何?
「菫ちゃんだよね?」
後ろを振り向くと、水姫ちゃんがふわふわっとした屈託のない笑顔を私に見せてきた。
名前を呼ばれてしまったので私は仕方なく、愛想笑いをして
『うん。そうだよ。水姫ちゃん!』
そういうとぱぁっと花が咲いたみたいに明るい表情を私に向けて
「私ね!ずっとね!菫ちゃんとお話ししたかったの!」
何…この子。
顔は笑うように意識しながら相手を見ていた。
何をたくらんでるんだろう。
