本当のキミ

彼の奥が少し

ほんの少しだけ見えた気がした。

私は覚悟を決めて
『…いた、って?』

その質問に彼は
こちらに顔を向けて
笑った。

こちらがつらくなるような
苦しそうな笑顔…

「死んだんだ…中2の秋に……」






「………俺として…」







最後の言葉は風の音にかき消され
私の耳には入らなかった。

私は彼の顔から目が離せなかった。
一瞬でも目を外したら
もう、顔を作れなくなりそうで怖かった。

また、切なそうに彼が笑う


お願い、そんな顔しないで…


さっきのような笑顔で笑ってよ。

そんな顔見たくない。