……。

夏向は、私にすべてを打ち明けてくれた。

信じてくれた。


………。


「さ、そろそろ。授業も終わるぞっ。水姫ちゃんに伝えに行くんだろ?」

優しい笑顔でそう言って、扉へ向かう夏向を

「ん?」

とっさに、制服をつかんで止めていた。

『…ぁ。』

ごくっ…

自分の飲み込む音がやけに耳に響く。

「どうした?」

じっとこっちを見られて、落ち着かなくなって俯いた。
夏向の足が私に近づいてきている。

「…」
『…』

「座ろうぜ。」

しばらくの沈黙を破ったのは、夏向だった。

夏向は、その言葉通り近くにあった席に腰を下ろす。

『…ん。』

小さく返事して、私もその隣の席に腰を下ろした。

心臓が、うるさい。
手が震えてる。

私のしたことは…周りから…
どう思われることなんだろう……

引かれて、しまうかもしれない。

“恐怖”

それが私の口を閉ざしている。