本当のキミ

【菫 side】

『かなた…』

私は小さく、彼の名前を繰り返した。

それに彼はふっと笑って、
「そうだよ。」

ドキッ…

その笑顔に少し胸がぎゅってなった
気がした。

何?

あ…っと
こんな本音でいうの初めてだし…
だよね…

…はっ
らしくないな…
次の質問!!

『あ、えっと…夏向……さん?』

少しいいづらかった。
そんな私に彼はクスクス笑った。

「言いづらかったら、“さん”なしでいいよ。」

そしてまたクスクスと笑って、
あっと思い出したように
「それに、敬語じゃなくても。早野…さんにはあわねぇよ。」

そんなに笑わなくても…
それに自分も言いにくそうじゃない…

まあ、ここは冷静に甘えましょう。

『わかったわ、じゃあ、夏向で。』

と言いにっこりと笑い。

『夏向も言いにくかったら…どうぞ、呼び捨てで。』

彼は、う…と鈍い声をだし、
また優しい笑顔で笑った。

「わかった!じゃあ、菫…な」

私が見慣れないやさしい笑顔で…







このまま見ていたい…





……あれ!?

なんで…

気のせいよ…そう気のせい
私は、幸せなんて感じない
   幸せなんて必要ない…