本当のキミ

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  ……—―――――

~~~~~…カンカンカン…

消防車が家の前を通るのが分かった。

それに反応して
母さんが、窓を覗き込みながらつぶやく

「あら、どこかで火事でもあったのかしら…」

俺は、さほど気にもならず窓をチラッとみて、そうなんじゃない?
と言っただけだった。


ピロロロ…ピロロロ…

母さんのケータイがなる。
すぐにケータイをとって電話にでた。

「あ、皐月さん。~~…」

俺の塾仲間の母親らしい。
塾の前の家のやつ。

また視線をテレビに移そうとしたとき。

「…え!?」

母さんの大きな声が響いた。

母さんは俺をチラッとみると、廊下へ出て行ってしまった。

…?
何だ?

なんとなく気にはなったけど、そのままにした。

数分後
母さんが少し青い顔で戻ってきた。

どうしたの?っと聞く前に母さんが口を開いた。

「春奈、ごめん。少し出かけてくる。」

深刻そうに低い声で俺に告げた。

不吉な予感がすり抜けたけど、無理やり消した。

『うん…行ってらっしゃい。』