本当のキミ

【夏向side】

俺は、いつも通りだった。

何も想像してなかった。
いつものと同じように公園で
服を着替え、
寮に向かおうとしていただけだった。


まぶしい光が急に消えたので
ちらっと前を見ると
逆光の光で顔が見えないが
人が立っていた。

俺はその時も、こんなボロイ公園にくる奴がいるんだなと
のんきにそんなことを思っていた。

まさかそいつが、今からおそろしいことをいうなんて思わなかった。
思うわけがなかった。

だから
普通に過ぎ去ろうとしたとき、
不意に目の前にいる彼女が

「坂下 春奈…さん?」
と俺の学校での名前を呼んだ。