「…」 あれは、重太郎っぽい人。 いや、絶対重太郎だろうが。 先ほどの件があり、目を細めてその人物を見る。 そしてまた、思い出す。 照らし付ける光が、よけいに熱く思えた。 数メートルまで近づくが、声はかけない。 煩い人混みの中でも声なら聞こえるくらいか。 「武智」 壁にもたれ掛かっていた重太郎が。 そう、目を細めて美夜を呼んだ。 眩しいのか。 きっと、日差しのせいだろうが。 美夜には、少し微笑んでいるように見えたのは。 先ほどの件があったからかもしれない。 (よかった…重太郎だ…)