タオルを取り上げ、ドライヤーで髪を乾かす。



お茶を飲む琴音は、変な顔をした。



「なんか違う…」

「シェフが淹れてくださったんですよ」

「ふぅん…、こんなに違うんっ!?喋らないんだった!!」

「もういいです。お嬢様の気持ちをわからない、わたくしが悪かったので」

「えっ?」

「申し訳ありませんでした」

「あ、謝らなくたって…べつに…」



疲れすぎて、頭がどうかしてる。



髪を乾かし終わり、ベッドに座った琴音。



「明日は金曜日です。忘れ物はございませんか?」

「ないと思う…」

「それはよかっ…」



またフラッとして、立ってられなくて。



琴音の前にひざまづくような形になってしまった…。



「どう…したの?」

「お嬢様」

「なに?」

「気をつけて行ってきてくださいね?」

「う…ん…」

「申し訳ありません、本日はいろいろとやることがありますので…これで失礼します」

「ヒョウっ!!」

「はい?」

「無視してて…ごめんね?」



デートになんて行かせたくない。



だけど、それを止める権利は俺にはないことに気が付いた。



無事に帰ってきてくださいね、お嬢様…。