夜になり、ママと向かったレストラン。



パパが先にいて、話しかけて来たけど無視した。



あたしは怒ってるんだから。



「コースを頼んだよ、琴音。ものすごく美味しいからね」

「パパ、あたし食べるの嫌い」

「それはっ…好きなものだけ食べるといい」



必死に機嫌取り。



気まずい空気のまま、見知らぬ夫婦と女の子がやってきた。



その後ろに、会いたくてしかたなかった愛しい人。



ヒョウが静かに女の子の座るイスを引いてる。



あたしの執事を横取りした子…。



「久しぶりだね。これがうちの娘、琴音だよ」

「奥様に似てカワイらしい娘さんですね。うちの娘、カレンです」



カレン…。



あたしのヒョウを独り占めしてる張本人!!



「初めまして、琴音といいます。本日はお会いできて光栄です」

「噂ではモデルをなさってるとか」

「始めたばかりでわからないことだらけですけど」

「有栖川社長が羨ましいですよ。うちのカレンはひとりじゃ何もできなくて」



あたしだって同じだもん…。