笑えなくて残念だ…。



「何見てんだよ、ワンコ」

「み、見てないですよ…」

「で、どこに行きてぇんだ?」

「決めてない」

「は…?わざわざ着替えて来てやったのに、ふざけたこと言ってんじゃねぇぞ」



やっぱり執事として出かけた方がよかったのかな…。



いや、ヒョウのことだから、あのまま外に出たらやたらお嬢様扱いされそうだ…。



「買い物…とか?夏服欲しいなぁ~、なんて…」

「よし、行くぞ」



渡されたのはヘルメット。



んなぁ!?



ヒョウってまさかっ…バイク持ってたんですか…。



「乗れ」

「乗ったことないよ…」

「ビビってんじゃねぇよ。お前が乗るなら安全運転だ」



ヒョウっ!!



今、さりげなく甘やかされた気分だよっ!!



自然に顔が緩む。



バイクの後ろに乗り、ワクワクしてきたあたしにヒョウは珍しく優しく微笑んだ。



と、溶けそう…。



「掴まれって」

「どこに…?」

「ココ」



み、密着っ!!