倒れそうな琴音を受け止めると、息が荒くなって行く。



このままじゃマズい。



「琴音、移動するぞ」

「お願っ…」



こんな時に過呼吸かよ。



琴音の友達が心配そうに見守る中、抱き上げた琴音と一緒にベランダへ出た。



「平気だろ?ちゃんと息しろよ?」

「ん…」



俺の胸に手をあてがう琴音は、苦しそうで。



必死に俺に合わせようとしている。



「ちょっと…平気かも…」

「学校で過呼吸とかやめろよ…。周りがうるせぇぞ」

「何でだろ…。今のは本当にありがとね。降ろして?」

「ヤダって言ったら?」

「えっ…?」

「離したくねぇんだけど。このままふたりでどっか逃げちまう?現実とか、厳しすぎんだろ」

「それ、いいね。でも、今はお家に帰るよ。思ってたより、体がキツいみたい」



わかってんじゃん。



ムリしたっていいことねぇんだから。



「体熱いな…。迎え呼んでやるよ。そこからはひとりで行けるな?」

「お願いします…」



もういい加減、我慢しましたよね、お嬢様。