話してみると、ジョーはよさそうなヤツだった。



ベランダから、教室の中を見ると、琴音が思いきり見ている。



シカトだ。



「でもさ、青柳くんが執事で、有栖川さんが主人でしょ?昨日の態度的に、逆だよね…?」

「特別、ヒョウって呼んでいいぞ、ジョー。琴音はガキの頃から俺のペットだ」

「幼なじみ?なんでこの歳で執事なんか?」

「ワケがあってな。家では真面目に執事やってる。学校では普通にしろっつーから、昔と同じように接してやってんだ」

「よくわからない…」



わからなくていい。



琴音の素性がバレなきゃ、なんだっていい。



「金持ちってこと、黙っててもらえるか?」

「言わないよ。僕だって隠してるしね」



同じ境遇のヤツがいたのに、なぜ友達にならなかったんだ?



まぁ、バカな琴音は気づいてねぇだろうけど。



「めちゃくちゃ見てるよ、有栖川さん」

「あのアホ面、イジメたくなるよなぁ~」

「ははっ!!愛情の裏返しだ」

「あのバカっぽく開いた口にタバスコ突っ込んだらどんな顔すんだ?」

「あははっ、ドSだぁ~。ヒョウっておもしろ~い」

「お前、いいキャラだな、ジョー」

「ヒョウほどじゃないよ~」



友達ができた。