野獣な執事とワンコお嬢様

それって…。



「意味わかって言ってんの?」

「そんなにバカじゃないよ、あたし」

「あんなにイヤがってたじゃねぇか」

「戻ってくるって、約束してくれる?」

「あ、あぁ…必ず戻る」

「思い出しちゃうよ、6歳の頃…。ヒョウに二度と会えなくなるって…」



そうか…。



あのときの別れか…。



確かにアレは急だったし、琴音が見たこともないくらい泣いていた。



あの頃と同じ気分になるのか…。



「最近、辛かった。あたしがダメなことも、ちゃんとわかってたんだよ?だけど…離れたくなくて…」

「勝手なこと言ってごめんな?」

「ヒョウは悪くない。頭冷やしてちゃんと考えたよ。偉い?」

「ん、偉い」

「大好き、ヒョウ…」



抱きつく腕の力が強くなって。



抱きしめ返したくて、琴音を離してベッドに横になった。



腕を広げれば飛び込んでくる。



軽くて、温かい…。



「撫でてもいいよ?」

「お前、撫でられんの好きだよな」

「うん、ヒョウの手、気持ちいいから大好き」

「さすがワンコ」



すり寄ってくる琴音に、小さな罪悪感を抱いた。