首を小さく横に振ってる。



それだけで、満たされた気がした。



「ヒョウに従いたいけどっ!!あたし、色んなこと知らないからっ…怖いよ…」

「わかった」

「お、怒るの…?」

「怒ってねぇよ。気持ちは受け入れてくれてるみてぇだからな。満足した」



ホッとしたのか、滝のように流れ始めた涙。



体を起こしてやり、涙を拭った。



「ヒョウに触られるの、大好きだもんっ…」

「ん、わかったって」

「大人になりきれなくてごめんなさいっ…」



頭を撫でると、抱きついてきて泣いてる。



カワイイな…。



ネクタイをしめ直し、仕事モードに切り替えた。



「宿題やりましょうか、お嬢様」

「まだケーキ食べてない…」

「そうでしたね。先に食べて、それから宿題にしましょう」

「グスッ…」



コクコク頷いた琴音を膝に座らせ、ケーキを口の中に運ぶ。



泣かせたからなのか、甘やかしてやりたくなるこの感じ…。



惚れた弱みってのは、恐ろしいくらい卑怯だと、初めて知った。