フラフラと部屋に戻った琴音の食器を片づけた。



「完食!!」

「よかったですね、シェフ」

「明日も食べてくれるといいんだけど…」

「そうですね。では、食器の片づけをお願いします。わたくしは食後の紅茶を持って行きますので」

「気が利くね、青柳くん」



琴音が好きな紅茶を部屋まで運ぶ。



きっと、嫌いなニンジンを食わされた琴音は抜け殻状態だろう。



「失礼します」



部屋に入ると、ベッドにうつ伏せになって動かない琴音がいた。



飴と鞭は使い分けなきゃな。



「お紅茶をお持ちいたしました」

「甘いのがいい…」

「はい、お嬢様。いつもより、少し甘めにしてみました」

「うぅぅぅ~…」



ニンジンくらいで…。



でもあの涙目は、たまらなくカワイかった。



「もうお休みになられますか?」

「寝る…」

「明日の朝はお嬢様の好きなフルーツをたくさん出してもらいましょうね」

「いいの?」

「えぇ、ご褒美です」

「うん、寝る!!おやすみ、青柳」

「おやすみなさいませ、お嬢様」



単純な琴音。



これからもっと、楽しみましょう、お嬢様…。