詰め寄られ、後ろには壁。



キスされるっ!!



と、思った瞬間、呼吸ができなくなった。



「させるか、バーカ」



先輩から引きはがされた体は、ヒョウの匂いに包まれ、すっぽり腕におさまっていた。



「あっ、噂の転校生」

「先輩、琴音がイヤがってんだけど」

「君に止める権利なんてないと思うんだけど?」

「いいんだよ、コイツの飼い主は俺だからな」



ヒョウだよぉ~…。



助けてくれたんだね…。



「見苦しいぞ、お前」

「はははっ、簡単に落ちると思ったのに」

「性格悪い」

「だってカワイイのは事実じゃん。俺、マジで欲しかったんだけど」

「諦めろ」

「はいはい、面倒はごめんだからもういいよ~。楽しかったね、琴音ちゃん」



ニッコリ笑った先輩は、向きを変えていなくなった。



あれ?



あんまり好かれてなかったってこと?



「こ~と~ね~…」

「は、はい?」

「あんなヤツにシッポ振ってんじゃねぇぞ、コラ…」



ヒョウが怒ってるぅ~…。