不遜な蜜月


両親や姉が助けてくれると言ってくれたが、あまり頼りすぎると負担になってしまう。


「結婚、した方が・・・・・・はぁ」


現実は優しくないのだと、改めて思い知る。

だからといって、結婚した方がよかったのかもしれない、と思う自分が情けない。


「あれ? また残業?」

「え? あ・・・・・・一ノ瀬さん」


ひょいと顔を出したのは、缶コーヒーを手にした誠だった。

スーツの上着は着ておらず、彼も残業だろうか?


「えっと・・・・・・」

「あ、香坂です」


自己紹介していなかったのを思い出し、真緒は慌てて名乗る。


「香坂さんね。残業?」

「はい」


真緒のパソコンを覗き込み、誠は笑う。


「手伝おうか?」

「いえ、私の仕事ですから。それに、一ノ瀬さんも残業、ですよね?」

「うん。明日、取引先に行くから、そのための準備をね」


営業課トップの成績を誇る誠は、その親しみやすい性格もあるが、努力を怠らないという点も、トップを維持している理由だろう。