ため息をつき、理人は一臣を視界から追い出す。
「―――なんだ?」
内線が鳴り、苛立ちを抑えながら出る。
『お電話です。・・・・・・梶谷様から』
返って来たのは、不機嫌な玲奈の声。
「わかった。・・・・・・何の用だ?」
一臣は一礼してから、社長室を出ていく。
それを横目で見送る理人の耳に届いたのは、女性の声。
『今帰ってきたの』
「会社に電話する程の用件なら、聞いてやる。それ以外なら、切るぞ」
『携帯にかけたわ。でも、出ないからこっちにかけたの』
悪びれた様子がないのは、いつものことだ。
『今夜会える?』
「忙しい」
『久しぶりなんだから。待ってるわ、いつものとこで』
電話は切れて、理人は面倒そうに肩を落とす。
梶谷 美紗―――お互い、割り切った関係を続けており、恋人ではない。
仕事で海外へ行っていた彼女とは、2ヶ月ぶりだろうか?


