不遜な蜜月


気持ちは暗い方へと向かってしまう。


「着いたぞ」

「え? あ・・・・・・」


降りろ、と言われているらしい。

真緒は渋々、車から降りた。


(レストラン?)


如何にも高級そうな外観のレストランは、内装もオシャレだった。


「予約した黒崎だ」

「いらっしゃいませ。こちらへどうぞ」


品の良い男性が、レストランの奥、個室へと案内してくれた。


「どうぞ」

「あ、ありがとうございます」


戸惑いながらも、真緒は椅子に腰掛ける。


外はライトアップされていて、プールも見える。

自分には一生縁のない場所だ、としみじみ感じてしまう。


「ワインはいかがされますか?」

「いや、遠慮しておこう」


理人は真緒を一瞬見て、ワインリストを下げさせた。

男性は静かに出ていき、二人きりになる。


(ここ、一体いくらなのかしら・・・・・・?)


想像もできなくて、真緒は視線を泳がせてしまう。