律儀に外まで見送ると言う一臣は、ふたりに背を向けている。
(話をするだけじゃ・・・・・・)
不安ばかりが募る。
「・・・・・・」
チラリと、理人に掴まれた自分の手を見てみた。
痛くはないが、どうすればいいのかわからなくて、困る。
そんな真緒の気持ちなど露ほど知らず、理人はエレベーターを降り、早足でエントランスを抜ける。
「あの、どこに―――」
「行けばわかる」
問答無用で、車に乗せられた。
「では、明日もいつも通りの時間にお迎えにあがります」
一臣は丁寧にお辞儀をして、ふたりを乗せた車を見送った。
「上手くいけば良いのですが」
一抹の不安は残るが、理人を信じるしかない。
一臣は車が見えなくなると、仕事に戻ることにした。
無言の車内は、居心地が悪い。
膝に乗せた自分の手を見つめて、真緒は内心、ため息をついた。
こんなことなら、意地でも彩子と食事に行けばよかった。


