暗い面持ちの真緒を見て、彩子は仕方ないと微笑む。
「よくわからないけど、大変なのね」
「・・・・・・うん」
「鍋はいつでも行けるもの。気にしなくていいわ」
彩子は笑顔で、真緒を見送った。
制服から私服に着替えて、真緒は再び、社長室へとやって来た。
2度目の社長室に、ため息が漏れる。
「来たか」
「・・・・・・用はなんでしょうか?」
理人を見ることなく、真緒は心なしか冷たい声で問う。
「場所を変えよう。工藤、車は?」
スーツの上着を羽織りながら、理人は一臣を見た。
「手配済みです」
「わかった。行くぞ」
理人は説明も無しに真緒の手を取り、さっさと社長室を出ていく。
(ど、どこに連れてくつもりなの?)
不安になりながらも、声をかけるタイミングがわからず、エレベーターに乗ってしまった。
せめてもの救いは、二人きりではなく、一臣も一緒だということだ。


