重いため息を漏らして、理人は前髪を面倒そうにかき上げる。
「工藤、一生恨むぞ」
「構いません。社長のためを思い、取った行動です。後悔はありませんので」
淡々と告げるこの優秀な秘書に、何を言っても無駄だ。
「問題は、彼女にどうやって了承させるか、だな」
あぁ、面倒だ―――。
こんなことなら、結婚しないなんて言わなければ良かった。
目の前で上機嫌に笑う祖父を見つめて、理人は再び、重い重いため息を漏らした。
仕事が終わり、大きく伸びをする。
隣の彩子も終わったらしく、肩を揉んでいる。
「飲みに行かない?」
「えっと・・・・・・しばらく禁酒しようと思ってて」
それに、妊娠中の飲酒は避けたい。
彩子にも、近々話した方がいいと思っているが、タイミングが掴めずにいた。
「そうなの? じゃあ、鍋とかならどう? あったまるよ〜」
「それなら、行きたい」


