不遜な蜜月


優しい旦那さんだが、菜緒曰くお人よし、だそうだ。


「だから、今日は真緒のとこに泊まろうかな?」

「ふふふ、いいよ」


いつだって、悩み事を相談するのは姉で。


真緒は穏やかな気持ちで、パンケーキを口に運ぶ。


後日、とんでもない事態が待ち受けていることなど、知りもせず―――。










―――コンコン。

社長室の扉がノックされ、理人は視線を上げる。


「頼まれた件につきまして、ご報告に」

「手短に、な」

「―――妊娠しているかもしれません」

「・・・・・・は?」


理人が書類から顔を上げ、一臣をまじまじと見た。


「妊娠・・・・・・? 誰が?」

「彼女です。香坂 真緒」


書類が手から滑り落ち、理人は力無く背もたれに倒れ込む。


「それは・・・・・・確実なのか?」

「断言はしかねます」


一臣の冷静な様子に、理人はため息を漏らす。