「産むか産まないか、ってこと?」
菜緒も、真緒の心情を察してか、深く聞こうとはしなかった。
「冷たいこと言うけど、それを決めるのは真緒自身よ。お腹の子は、あんたの子でしょ?」
「・・・・・・うん」
「姉としては、妹が妊娠したんだもの。素直におめでとう、って言いたいわ」
菜緒は笑って、真緒の頭を優しく撫でた。
「大丈夫。あんたがどんな決断をしたって、私は味方だから」
「ありがと・・・・・・。産む勇気はないけど、下ろしたい、とは思えないの」
望んだ妊娠でないにしても、命を捨てるという選択は、難題すぎる。
「妊娠も出産も、女にしか体験できないことだもの。悩んで悩んで、結論を出しなさい。話なら、いつでも聞くわよ」
「うん。そういえば、遼くんはどうしたの? 家にひとり?」
少しだけ気持ちが軽くなって、真緒は話題を変えてみた。
「幸平が出張から帰ってきてるから、心配しなくてもいいわよ」
幸平とは、菜緒の夫だ。


