「あんたはすぐに無理するから。ホントに手伝わなくていいの?」
最後まで手伝うと言ってくれた彩子に礼を言い、真緒は彼女を笑顔で見送った。
外はすっかり日が落ちて、残っているのは真緒ひとり。
もう少しで終わるファイルから視線を上げ、コンビニの袋からチョコレートを取り出す。
「美味しい」
甘い中にも、ほのかな苦味。
一口サイズのチョコレートはとても美味しくて、彩子がオススメというのもわかる。
「・・・・・・はぁ」
無意識に漏れてしまうため息の原因は、わかっている。
(産まないってことは、下ろす・・・・・・ってことよね)
このお腹に宿っているのは、小さな命。
決断は、まだできない。
産むと決めても、父親がいないことを覚悟しなくてはならない。
真緒は俯き、唇を噛んだ。
「まだ誰か残ってるんですか?」
「! は、はいっ」
声が聞こえて、真緒は慌てて顔を上げた。


