不遜な蜜月


―――・・・・・・。

あの夜、君は言った。

私は社長に気づいても、社長は私に気づかない。


あの時、君は言った。

私は社長に見つけて、社長も私を見つけてくれた。


「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・」


もう一度、君を見つけるよ。

君は一生分の運を使いきったと言うけれど、そうじゃない。

君の優しさに触れるたび、君の笑顔を見るたび、幸せでいっぱいになるんだ。

幸福に際限などないのだと、君と出会って知った。


だからもう一度、君を見つけるよ。


「真緒!」


入り組んだ庭園の奥深く、振り返った真緒が驚きで目を見開いて、笑おうとして、俯いて。

逃げるように一歩、後ずさる。


「待って、逃げないで」


俯く真緒に、できるだけ優しく声をかける。

会社で何度か見かけたけれど、こうして間近で会うのは久しぶりだ。