不遜な蜜月


真緒のことは好き。

頑張り屋で優しくて、妹みたいな存在。

そこに、理人のような恋愛感情はない。

理人を呼び止めたのは、真緒に傷ついてほしくないからだ。


「ただ、俺も香坂さんとはぐれてしまって、どこにいるかは分からないんですが」

「・・・・・・いや、ありがとう」


彼に会えたのは、幸運だ。

自分の気持ちを再確認できた。


「感謝するよ、一ノ瀬くん」

「どういたしまして」


駆け出す理人を、誠は笑顔で見送る。


「さて、と。秘書課の青山さんだよね?」

「あ、気づいてましたか」


隅っこで様子を窺っていた玲奈を、誠は振り返る。


「うん。それで、急なんだけど、甘いものは好き?」

「は?」


突拍子もない質問に、玲奈は小首を傾げて誠を見つめていた。