「香坂さんは、いい子ですよ。退院する時、ホントは社長に来てほしかったはずです」
他にもいろいろ、我慢してることはあるだろう。
それを思うと、無理して笑う真緒が可哀相になる。
「社長が忙しいのはわかってます。けど、居てほしい時に居てくれない人程、辛いものはないでしょう?」
「・・・・・・」
誠の言ってることは、よくわかる。
仕事を言い訳にしたくないと言いながら、行動が既に言い訳を示していた。
「俺は、彼女の優しさに甘えているんだろう」
きっと、これから先も真緒の優しさに助けられて、甘えてしまう。
それでも―――。
「それでも俺は、彼女に会いたい。伝えたいことが、あるから」
「・・・・・・社長、気づいてますか?」
誠が苦笑しつつ、肩を落とす。
「俺に社長を止める権利は、ないんですよ」


