自分がしたことは、悪いこと。
柔らかな棘で、真緒を傷つけた。
でもね、後悔はしてない。
見事に砕けたけど、真緒という存在が現れなければ、自分は一生、理人に未練を残していただろうから。
「ていうか、当たって砕けたら、結婚式どころじゃないわね」
笑いながら、美紗は自分の爪を見た。
今日も綺麗な赤い爪。
あの人が―――理人が綺麗だと言った私の爪。
なのに今は、歪んで見える。
あぁ、そうか。
涙で視界が潤んでいるからだ。
だから、歪んで見えるんだ。
「・・・・・・羽村・・・・・・迎えに来て」
ポタポタ落ちる涙を我慢せずに、美紗は携帯を耳に当てる。
今は泣いてもいい時だから。
だから、泣いたっていいのよ―――。
玲奈のメール通りの場所に来たが、真緒の姿はない。


