不遜な蜜月


もう、理人の香りはしない。


「・・・・・・」

「香坂さん?」

「は、はいっ」


遅れていたことに気づき、真緒は慌てて駆け寄る。


「大丈夫? 具合悪いなら、無理しなくていいよ?」

「大丈夫です。庭って、どんな感じでしょうね」


明るく振る舞う真緒に、誠は何も言わずに苦笑していた。





(あれは間違いなく、香坂さん。まさかこんな所で会えるなんて、兄さんについて来てよかった!)


私ってば強運、とひとり興奮しているのは玲奈。

見つめる先には、庭へ向かいながら笑い合う真緒と誠。


(隣にいるのは・・・・・・まぁ、いっか。あ、どっか行っちゃう!)


見失うわけにはいかない。

玲奈は気配を押し殺し、ふたりの後を追いかける。

不審がる他人の目なんて、今は気にならない。