不遜な蜜月


少し、痛い。


「あ、あの」

「好きだよ、君が」

「・・・・・・ありがとうございます」


嬉しい。

とても嬉しい言葉だけど、今の真緒には、ちょっとだけ辛い。


「俺と結婚してほしい」

「・・・・・・私、友達に社長とのこと運命みたいだ、って言われました」


肩を掴む手が緩んで、真緒は立ち上がる。

それでも、理人の方が高くて、見上げることは変わらない。


「確かに、運命みたいかもしれない、と思いました」


自分の会社の社長と出会う確率。

一夜を共にする確率。

妊娠する確率。

再び出会う確率。


運命みたいだ。


「私は社長を見つけられました。社長も、私を見つけてくれた」


真緒は笑って、泣きそうになる自分を励ます。


「一生分の運を、使い切っちゃったんです」