不遜な蜜月


そう思っていたのだが、彼女と話している内に、忘れていたのかもしれない。


「うちの社長、すごくかっこよくて、女子社員に人気なの」

「へぇ。じゃあ、君も?」


理人の問いに、真緒は笑って首を振る。


「カッコイイのは認めるけど、何て言うか、うちの社長・・・・・・作り笑いしてるみたいで」

「作り笑い?」

「そう。そりゃあ、仕事だもの。心から笑え、なんて無理だわ」


空になったグラス、氷が溶けて、カタリと崩れる。


「社長、作り笑いしてて、疲れないのかしら?」

「・・・・・・可哀相、だとでも?」


若干、言葉に刺々しさが含まれる。

それに気づいたのか、真緒は理人を見て、微笑む。


「可哀相より、社長の疲れを癒してくれる、そんな女性と出会えればいいな、と思うわ」

「・・・・・・」

「仕事に作り笑いだって、必要だと思わない? あれ? 聞いてる?」


予想外すぎて、すぐに言葉が出てこなかった。