不遜な蜜月


「いえ、タクシーで」


少しだけ電車でもいいかな、と思ったが、それを言うと姉が絶対に迎えに来ると言いそうな気がした。


「じゃあ、タクシー呼ばなきゃだね。待ってて」


誠は手慣れた様子でタクシー会社に電話をして戻ってきた。


「すぐに来るから、外で待ってよう」

「あ、はい。・・・・・・一ノ瀬さん、日頃からタクシー利用してるんですか?」


会話も特にないし、気になったので聞いてみた。


「まぁ、接待とかの帰りに酔い潰れた人を乗せたりするからね。俺はあんまり使わない」

「あぁ、なるほど」


納得して、再びの沈黙。


「社長は?」

「え?」


沈黙を破ったのは、誠だった。


「退院なのに、社長は来ないのかな、って」

「あ、社長は忙しいし、別にひとりでも大丈夫だから」