そして同時に、理人の携帯もうるさかった。
「また梶谷 美紗ですか?」
玲奈が書類を受け取りながら、うるさく鳴る携帯を睨む。
マナーモードにしているが、こう頻繁に鳴ると、やっぱりうるさいと感じてしまう。
「電源を切ったらいかがです?」
「香坂から連絡が来たらどうするんた?」
彼女の性格上、理人に電話をすることはないかもしれない。
けれど、もしかしたら、という事もある。
「・・・・・・その、香坂さんのことなんですが・・・・・・」
玲奈が珍しく口ごもるので、理人は気になって顔を上げる。
「いえ、なんでもありません」
玲奈は急ぎ足で社長室を出て、扉を乱暴に閉めた。
「何なんだ?」
理人は首を傾げつつ、仕事に集中することにした。
(言えるわけないわっ。香坂さんと梶谷 美紗が、もしかしたら会っているかもしれない、なんて)


