スーツ姿の理人は、恐らく会社からそのまま来たのだろう。
「すみません、ご迷惑をおかけして・・・・・・」
体を起こそうとしたが、理人から無理するな、と横になるよう言われてしまった。
「悪いな、来るのが遅くなって」
「い、いえ」
こういう時、どこを見ればいいのだろう?
理人を見ようにも、気恥ずかしくて見れない。
「もう面会時間ギリギリなんだ。明日も来るから」
「いえ、大丈夫ですから」
これ以上迷惑をかけるわけにはいかない、と思ったのだが、理人が気にするな、と言うように頭を撫でてきた。
「俺が来たいから来るんだ。ゆっくり休め」
「・・・・・・はい」
理人の香り。
我ながら、単純だと思う。
たったこれだけのことで、安堵してしまうのだから。
病室の外、彩子は一臣と隣り合って座っていた。


