不遜な蜜月


(誰か・・・・・・っ)


倒れてしまいそう。

気持ち悪い。

視界が揺れる。

胃が痛い。


「りひ―――」

「香坂さん?」


無意識の内に呼びかけた名前は、遮られた。


「大丈夫? 顔色悪いよ。ていうか、泣いてる?」

「・・・・・・」


涙で潤む視界に映りこんだのは、心配そうに覗き込む一ノ瀬 誠の顔。


「香坂さん? どうかしたの? 具合悪い?」

「・・・・・・っ」


背中をさすってくれる誠からは、理人とは違う香りがした。

真緒の記憶は、そこでぷつりと切れてしまう。

慌てる誠の声が、遠ざかる。










―――・・・・・・。

(電話? あ、真緒からか)


昼休みがもう終わるという頃、携帯に真緒からの着信。


「真緒? もう昼休み終わるわよ。・・・・・・え?」