ピンク色。
あの子みたいな、優しい色。
「・・・・・・不毛、ね」
こんなことをしても、理人の気持ちは自分に向かない。
「店長、羽村さんが来ましたけど・・・・・・」
「通して」
マニキュアのフタを閉めて、汚れたテーブルを片付ける。
「お嬢様」
「何? 今は仕事中なんだから、用があるなら早くしてよ」
羽村 貢は、お抱えの運転手。
彼の父親は、美紗の父親の運転手で、小さい頃からよく知っている。
「旦那様が、今夜お食事したいそうです」
「わかった」
小さい頃から知っているせいだろうか。
羽村の顔を見ると、安堵して泣きたくなる。
だから、出ていけ。
無駄に高いプライドは、他人の前で泣くことをよしとしない。
「お嬢様、お仕事が終わりましたら、お迎えに上がります」


