家政婦も気を使って、いろいろと作ってくれた。
でも、母親は一度も作ってくれないどころか、キッチンに立とうともしなかった。
「えっと、私でよければ、いつでも作りますよ!」
「・・・・・・ありがとう」
理人は笑って、今度は卵を割る用意を始める。
こうして料理をするのも、初めてらしい。
慣れない手つきだが、コツを掴むのは早い。
「今度は、カレーライスが食べたい。ハンバーグ乗せて、カツも乗せて」
「食べ切れませんよ、そんなに」
ハンバーグの焼ける音に交じって、ふたりの笑い声が響く。
それが少しだけ、嬉しかった。
「ごちそうさまでした」
「お粗末さまでした」
結局、料理の大半は理人が平らげた。
真緒はサラダやスープを軽くつついた程度。
「美味しかった」


