「偶然が重なっただけ、ねぇ」
彩子が箸で海老をつまむ。
「ねぇ、自分の会社の社長と偶然出会う確率って、どのくらい?」
「え? さ、さぁ」
「じゃあ、その社長と出会って、一夜を共にして、妊娠する確率は?」
「?」
彩子が何を言いたいのかわからない。
「社長が真緒―――たった一夜の相手を見つける確率は?」
「・・・・・・」
「偶然と言ってしまえばそれまでよ。けど、偶然に偶然が重なれば・・・・・・運命、とも言えるわよね」
彩子が笑う。
徐々に顔を赤くする真緒を見て、嬉しそうに笑う。
「まぁ、その梶谷さん、だっけ? その人のことも気になるけど、私はあんたの体調の方が気になるわ」
彩子と違って、真緒の箸はほとんど進んでいない。
「倒れちゃうわよ、本当に。妊婦なんだし、栄養とらないと」


